日本とハンガリー外交関係開設百五十周年記念イベントで開催されることになりました『十二単衣と着物ショー』に参加させていただきました。国と国との良い関係には、お互いを敬いあう気持ちが特に大切だと思い、ショーに参加する事で外国の方々により日本を理解し、親しみを持って頂けるお手伝いが出来るかも知れないと、心をときめかせて旅に向かいました。
到着した翌日に、カーロリ大学にて着物についての講義がありました。学生さんの真剣なまなざし、関心の高さに驚きました。その後、浴衣体験の時間があり、会場はたくさんの笑顔と歓声に包まれていました。中には目を潤ませている学生さんもおり、その様子をみて、日本文化はこんなにも憧れの対象であり、世界に誇れる文化なのだと強く感じました。
ショー当日は、入れなかった方もあったようで、会場は一席も空くことなく満席になりました。第一部では琵琶の演奏流れる中十二単衣・束帯・小袖姿・白無垢の時代装束。第二部では振袖等の現代の着物を紹介しました。振袖モデルは現地の大学生にお願いし、その姿は奥ゆかしくも華やかで印象的でした。
会場に響く拍手や手拍子を聞いて、観衆の方々に確かに伝わったものがあるという手応えを皆が感じていたと思います。フィナーレを迎え幕がおりた時は感動で胸がいっぱいになりました。
この経験は私の宝物になりました。
日本の文化は着物一つとってみても奥深く学ぶ事が尽きません。和装を学ながら着物というツールを通して素晴らしい日本の文化や和の心を様々な人々に伝えていきたいという気持ちが芽生えました。より良いものが伝えられるよう、知識や技術、日本人としての心を磨き、精進していきたいと思います。
大野尚子